面白ブックレビュー

 
「看板建築」 昭和の商店と暮らし
監修:荻野正和 発行者:後藤佑介
立面図イラスト:宮下潤也
 看板建築なる言葉をご存じだろうか。例えば、商店街で表通りに面して立ち並ぶお店の真正面の顔で、昭和っぽくて趣があるなぁ、と感じるアレである。建物の裏へ回ると古びた木造なのに、正面だけはまるで看板でも立てたように化粧されており、ハリボテのようなお店ともいえなくもない。これらは関東大震災後に建てられたものが多く、当時建築資材が乏しいなか、正面だけを豪華に飾ったデザインが流行し、建築家も腕を競ったそうだ。文化的価値を持つ建物も、時の進行とともに静かに姿を消すことは残念だ。本書には店主へのインタビューも掲載されとても興味深い。
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