上海おもしろ発見記

 中国支部・事務局長 梶下 寛信
 

 上海の人口は東京と同じく1200万人いるという。市街区の印象は東京の成人に対し、上海は若人、元気さが溢れているように思う。建設中の巨大ビルの屋上では、真赤なトンボクレーンが幾つも活動し、上海は今、猛スピードで近代都市へと変貌を遂げつつある。

 でも変わらないのは漢字文化であろう。街は漢字だらけの看板が氾濫し、流石漢字の故郷を感じさせる。赤い色の文字が目立つのもお国柄かも知れない。

 日本は当用漢字になって久しく、私達が小学校で習った文字よりも略字化されている。新中国建国以来、大幅に漢字が省略され、その凄まじさに驚かされた。『これ何という字』読めそうで読めない。読める文字の前後関係で判じられるものもあるが、それが全く別の意味になったりする。最高位国学者によって、あるいは文法のもと、生み出された略字に違いないから、私如きが文句をつける訳ではないが、いや、全く凄い。旅先なので皆でわいわいやりながら、首を傾げながら、バスの中で拾った珍字を紹介してみたい。

 納得のいくものもあれば、何故というものもある。私が日記等に走り書きする際、無意識に使っている文字を発見、変に傾いたりしている。等である。幾らかは違うにしても良く似ている。

 バスガイドが台湾の漢字に触れた。今の中国人の若い人は難しい漢字は読み書き出来ない、という。鉄は鐡、医は醫、駅は驛と書くそうである。中国と台湾、何れが漢字の故郷ぞ、と思う。

簡体字と元の漢字

 それはさておき、街の看板に書いてある文字は流石にバランスが良い。大は大の様に、小は小、それなりの品格を備えているから不思議である。店の正面が金箔文字で埋め尽くされているのを見たが、正に芸術品の感があり私の目を楽しませてくれた。

 どうしても読めなかったのがである。ガイドに尋ねた『あれは銀行カードのことで、上半分は黒字、下は赤字、赤字の方でもカードなら限度額迄借りることが出来ますよ、という意味です、ハイ』なるほど!!

 もう一つ笑い話。山の付く名のお寺に立ち寄った。門額にと書かれている。何故山の字の縦棒がない?。得意げにガイドが説明する。『このお寺のお山は海抜50m足らず、山というには少し低すぎます。そこで真中の縦棒を除け、両側の縦も短くしたら、このお寺の門標に良く似合う、ということから……』その昔、偉いお坊様が描かれた、と言うのである。中国の略字志向は今に始まったことではない、と思った。誰かが『まあ、なんでも有りじゃのう、この国は』そこで爆笑。

 以上おもしろ発見記(略字編)である。

ネオン組み立て加工の様子
上海ADネオンのスタッフ
 

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