有明海三大珍魚の一つ「ムツゴロウ」は、全国的によく知られた魚ですが、殆ど知られていない魚に「エツ」と名の付く魚がいます。筑後川流域でのみ見られるカタクチイワシ科の姿の美しい魚で、産卵のために有明海から筑後川を上ってくる5月から7月までがシーズンです。
伝説としていくつかありますが、その一つに弘法大師が川を渡れずに難儀されているところを若い船頭が渡してあげると、そのお礼に葦の葉を流され、その葉がエツになったといわれています。
エツは小骨が多いのですが(コノシロに似た魚です)、骨切りした後、酢の物や、淡泊な味わいなので刺身はもちろん、揚げ物などバラエティに富んだ料理は多くの食通に喜ばれています。
シーズンには川を挟んだ大川市(福岡県側)と諸冨町(佐賀県側)のエツをフルコースで食べさせるお店が賑わいます。
また、大川市の隣町には福岡一の酒処城島町があります。「沢の鶴」「清力」といった地酒とエツで一パイとなるとたまりません。
30年くらい前はエツの刺身を何回もおかわりして酒を飲んだものですが、最近は漁獲量が激変し高級魚に様変わりしました。しかし数年前から稚魚を放流し、少しずつではありますが増えているようです。早く昔の漁獲量に戻ることを祈っております。
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