危機突破・あの時のこんなこと

 

カジノ産業のABC

  事務局長 加藤保弥

カジノは日本の社会に有害か

 カジノといえばバクチ、青少年に悪影響を与え、犯罪を誘発し、暴力団が絡んでくるなど、悪いイメージが付きまとう。しかし、現在推進されているカジノ構想は、ルーレットやスロットマシンで埋め尽くされた賭博場を作ろうということではなく、巨大エンタテイメントセンターを作り上げ、その中心に現在違法とされているルーレットなどのゲーミング施設を備えようとしているもので、今世界の観光客を集めて一年中賑わいの絶えないラスベガスにその手本を学んでいる。

とばくは違法

 刑法第185条は「賭博をしたものは、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない」と定めている。また、第187条で富くじの発売、取次ぎも禁じている。ただ、187条の例外として宝くじ、競馬、競輪、競艇、オートレース、そして、最近ではスポーツ振興を大義名分として、サッカーが特別法の公営ギャンブルの対象として認められている。カジノ構想は、これら公営ギャンブルのように、ひたすら賭博を目的とするのではなく、エンターテイメント施設の主要部分に射幸性のあるゲームを取り入れようとしているのである。
 しかし、ルーレットやスロットマシンはパチンコと同じく賭博と解されるので、特別法の成立が必要となるのである。

ラスベガスのギャンブル性

 賭博や富くじの最大の問題点は、人々の射幸心を煽って大金を賭けさせ、博徒や胴元が不公平に多くの分け前を取ってしまうことにある。実際日本の公営ギャンブルの還元率は一律に75%、宝くじやtoto(サッカーくじ)は50%で、主催者の取り分が非常に大きい。この程度の還元率でも参加する人々が多いので、これを野放しにすれば大変な社会の混乱を招くため、法は主催者を国に限っているのである。一方、ラスベガスの平均還元率は、スロットマシンで92〜94%、ルーレットやバカラなどで80〜85%というからギャンブル性は低い。そのゆえに多数の一般市民の参加が見込めるのであろう。なお、パチンコの還元率は85〜92%程度という。また、パチンコ客が一回のゲームで消費する金額は15,000〜19,000円、一方ラスベガスのスロットマシンの客単価は$58.23(約7千円)と言われている。

お台場カジノ構想──日本は観光魅力に欠ける?

 一般に、日本は外人観光客で溢れているようなイメージがあるが、実際には、2000年の統計では海外への日本からの旅客は1650万人、海外から日本への旅客は440万人で、日本の観光収支は大幅赤字になっている。
 世界各国の国際観光客受入数を1999年度の統計で見ると、7304万人の1位フランスから、2位スペイン(5177万人)、3位アメリカ(4849万人)と続き、アジアでは5位に中国(2704万人)、17位香港(1132万人)、20位タイ(865万人)と続いているが、日本はこのリストではなんと36位(443万人)になっている。
 風光明媚、名所旧跡に事欠かない日本への観光客がこのように少ない一つの理由として、最近エンターテイメント施設の貧弱さが関係者の注目を集めている。実際、首都東京にやってきた観光客が夕食後の手持ち無沙汰を解消できる施設がどれほど存在するだろうか。お台場カジノ構想が実現すれば、ディズニーランドに次ぐ観光施設として、国際観光客への大きな魅力となることは間違いない。

東京都などのカジノ研究会初会合

 2月6日(木)、東京、静岡、大阪、和歌山、宮崎の5都道府県がカジノ実現に向けて法整備のあり方などを検討する「地方自治体カジノ研究会」の初会合が、東京都庁で開かれた。この研究会は、課長クラスの実務担当者で構成され、来年3月までに結論を集約して、政府に提言する計画という。

 石原東京都知事が先頭に立って推進している臨海副都心カジノ構想が、単なる巨大賭博場を作るのではなく、世界レベルのエンタテイメントセンターを建設するというコンセプトを明確にして、早期に具体化されることを期待している。
資料出所:室伏哲郎「カジノ産業が日本を救う」(2001)日本カジノ学会発行


 
●東京都カジノ創設機運盛り上がる
東京都は10月16日、カジノを日本につくった場合の経済効果を試算した報告書「東京都都市型観光資源の調査研究」を発表し、その中で経済効果は最大で、生産誘発額2千2百億円、雇用誘発人数約1万4千人となると発表した。
また、17日夜には東京都庁内で500人近い招待客を招いたカジノ体験イベントが開催され、新聞、テレビで大きく報道された。
一方、全ネ協も応援しているカジノ学会でも同日夜、評論家猪瀬直樹氏らが出席して、カジノ運営勉強会が開催されるなど、ようやくカジノ創設への動きが活発になってきている。(写真はカジノホテルや劇場中継、ショッピングモールを含んだカルチャーエンターテイメントシティのCG提供:梅澤忠雄都市計画事務所)

●「カジノジャパン」創刊日本初のカジノ専門誌「カジノジャパン」創刊号が1月31日に発行された。(定価980円)カジノジャパンは季刊で、次号は4月末発行予定。日本カジノ学会が設立した「国際カジノ総合研究所」の発売。
 

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