|
陶芸家としての活動に加え、アート系イベントやツアーの企画・運営なども手がける。主な陶芸作品展に・京都高台寺、秀吉400年忌、重要文化財指定の茶室、時雨亭等に作品展示
’97・肥後大津女流陶芸展 ’97、作家紹介展 ’98・神奈川アートアニュアル ’98・第24回長三賞陶芸展ビエンナーレ(前衛部門 ’99)、銀座アトリエTKにて個展
’00年、’02年など。 ネオンアートの本場といえば、アメリカ・ロサンゼルス。街なかで歴史的なネオンに触れることができ、世界随一のネオン博物館・ネオンアートミュージアム(通 称MONA)もあるとあって、ネオン関係者にとっては一度は足を運んでみたい街のひとつです。この秋、ロサンゼルスでネオンアート三昧するツアーが予定されています。企画した勝田素子さんにお話を伺いました。 ―― ツアーの内容を教えてください。 今回のツアーは MONA と共同で企画して、館長のキム・コガさんの全面協力を得て実現したものです。一般見学の時間が終わってから、静かなMONA 館内をじっくりと見学していただくという特別プログラムでツアーが始まるんです。MONA はハリウッド界隈やダウンタウンの歴史的ネオンのメンテナンスを一任されているんですが、日本語解説付きのダブルデッカー(2階建てバス)に乗って作品群の視察もします。それから、ビンテージサインを所蔵するコレクター宅や専門店を訪ねたり、作家のスタジオを見学したり。砂漠近くを本拠地にしている作家、デビッド・スヴェンソンさんのアトリエでのワークショップも予定しています。砂漠沿いの村に立ち寄ったり、バーベキューパーティなど楽しいレクリエーションもありますよ。さらに、ラスベガスにも足をのばす計画です。 ―― 充実の内容ですね。なぜこのような体験型、交流型ツアーを企画されたんですか? 何かに興味を持って、より深く知りたいと思って“ゆかりの地”を旅してみても、観光客としての立場から一歩踏み込むのは難しいですよね。そこで、関係者と知り合えたり、技法を勉強できたりといったプログラムをあらかじめ設けて、ネオンアートに近づく足がかりになるような企画ができないか、と。この滞在が、現地の作家やコレクター、美術館関連の方、そして参加した方々の将来的な交流の足がかりになればと思っています。 ―― 勝田さんは京都高台寺に作品展示したり、個展等もたびたび開かれている陶芸家ですよね。なぜネオンアートの企画を? ええと、話せば長くなるのですが(笑)。私は研究生として大学院で陶芸を学びながら、海外旅行の添乗員、非常勤の美術講師という仕事もしていたんです。卒業後しばらくは添乗員として世界を飛び回っていたんですが、どこかひとつ所で何かをしたいという気持ちが次第に強くなって、ロサンゼルス郊外のポモナ大学でアシスタント講師の職に就いたんです。近くのスクリップス大学には陶芸の大家であるポール・ソルドナーさんがいまして、“ポモナで働けば彼の授業をとれる!”ってそれが決め手です。 ポモナ大学がジョン・ケージの出身校なんです。クレアモントにはアーティストが多く住んでいて、不思議なエネルギーに満ちていました。そして、工場跡地利用の仮設ギャラリーで、私はネオンアートに出会ったんです。陶芸制作をしていたため時間を捻出できず、自らネオン作品を作るには至らなかったのですが、デビッド・スヴェンソンさんやキム・コガさんの作品は本当に新鮮でした。
―― クレアモントは当時アーティストの磁場だったんですね。 ええ。私はその後帰国して、添乗の仕事の傍らで陶芸に没頭していました。97年には秀吉400年忌にともなう京都高台寺の夜間特別拝観イベントで、陶芸作品を展示させていただくことになったんですね。ライティングアーティストの手で作品が照らされるのを見て、思いました。陶芸は割れない限りこの世に残る、でも光は消え去る。 永遠への憧れもあるけど、儚いものに対する美しさにも共感できる。そもそも、光がなければ、モノの姿かたちは見えない……。そんなふうに考えて、光の芸術であるネオンアートの面白さを改めて意識するようになりました。ネオンアート作家の小林和美さん(本誌前号でインタビュー)と出会ったのもこの頃だと思います。 そして今、長年の旅行業界の経験とネオンアートへの興味や人脈が結びつい て、この度のツアー開催となったわけです。
――これからの活動について教えてください。 9月14日東京ビッグサイトで行われる村上隆プロデュース『GEISAI-4』という 展覧会に小林さんと出展予定です。これはネオンアートを多くの方に見て頂いたり、情報を提供できるよいチャンスだと思っています。 アートはいつも新しい素材や手法を探しています。ロサンゼルスツアーやこの展覧会が、みなさんにとって新たな表現を生み出すきっかけとなればいい。小林さんのネオン作品の隣に、私の陶オブジェを出展する予定ですが、これはある意味でボーダーを越えたコラボレーション、ですよね。
後援・共同企画:MONA 企画主宰:Art Experience 担当:勝田 TEL:045-451-3570 FAX:045-451-3588 kamika3@attglobal.net 詳細はホームページでも www.h6.dion.ne.jp/~artex |