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総まとめ表は、別掲の通り。各国代表が会議開催までに本部に提出したもので、一応2002年を対象としていると考えられる。表中、「INS」とあるのは連絡がなかったもの、若しくは、連絡が不十分だったものである(英語のinsufficient
の略)。 |
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デフレの蔓延で先進諸国のインフレ率は、ほぼ3%以下の線に収まっている。ハイパーインフレに見舞われているトルコ、東欧ルーマニア、それにマイナス成長の日本が注目される。失業率はスペインが11%を超え、ドイツ、ベルギー、ルーマニア、トルコが9%台。日本はここ数年5%を超える未曾有の雇用状況悪化に苦しんでいるが、世界レベルではむしろ普通と考えるべきなのだろう。 |
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銀行金利は、インフレのトルコ、ルーマニアは論外として、大体5から10%の間を推移している。日本、韓国の超低金利が注目される。 |
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サインにかかる消費税・売上税は、直接税中心の日本以外では、ほとんどの国で20%前後となっている。 |
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日本の労働賃金は、南欧、北欧、米国と並んで世界最高水準。英独仏が意外と低い水準になっている。また、欧州諸国では支払賃金に占める社会保障費雇用主負担の割合が高い。賃金上昇率でもトルコの異常さと、日本の前年比マイナスが目を惹く。 |
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材料費上昇率は、各国が前年比5%以下。ドイツの8%アップと、日本の横ばいが注目される。 |
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業界総売上高は、どこまでをサイン業界とするかが各国の特殊事情によって異なるので、一概に比較できないものの、日本は米国の二分の一程度、英独仏を凌駕する数字が出ている。2001年の総GDPが米国10兆ドル、日本4兆ドル強であるところから、業界市場規模として当たらずとも遠からずのところであろう。日本については、屋外広告の中に所謂「交通広告」を含める考え方をとった。前年比を提示した国が少なかったが、ゼロまたはマイナスとした国が多く、プラス申告は、英国とラトビアのみであった。 |
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会員総売上高と会費については、各国の申告がばらばらで信憑性に欠ける。韓国の会員総数5,500人が真実とすれば、驚きである。あと、米国、欧州諸国の会員数を見ると、全ネ協の組織率も決して低いものではないと再認識した次第である。
以上、今後とも定期的な調査を積み重ねて、世界の屋外広告業界の実態を示す基本資料となるよう、ISA事務局のご努力を期待したい。 |