|
GKデザイングループは1953年設立。インダストリアルデザインを中心に時代のテーマをとらえながら、環境設計・グラフィックデザインなどデザインの領域を幅広くカバーする今日の総合的体制を整えてきました。(株)GK設計は10あるGKグループの一つとして都市空間から日常の生活の場、そして屋外空間のあり方を考え、感性にかかわる色彩、照明、音響の演出を含めて装置、施設の計画、設計を業務対象としています。宮沢 功氏は13年より取締役社長を務められています。 ―― SDAはサインデザインの向上と普及を目指し1995年に設立されました。サイン、インテリア、照明、建築系のデザイナー、ランドスケープデザイナーや大学などの関連教育、研究機関、企業など約230名の多様なメンバーにより構成されています。10数年前に法人化。宮沢 功氏は会長に就任されて3期6年目。1966年には第1回 SDA賞が実施され、 NECのネオンが最高賞に輝きました。 ―― SDAの成り立ちは「関西ネオンデザイナーズクラブ」の活動がきっかけなんですか? そうですね。創立時は商業サイン全盛でしたが、社会的状況からも徐々に公共サインの割合が大きくなってきました。この頃はSDA設立当時とは逆に商業サインの分野では良い作品がなかなか出てこない。しかし、また3年前ぐらいから商業サインの役割が大切なのではないだろうかという動きになってきました。 東京都のラッピングバスに対しての批判が多く出たということもあって、商業サインはどういうあり方がよいのかと真剣に論議する必要が出てきたわけです。 それで、商業サイン研究部会が発足しました。武山良三氏(国立高岡短期大学教授/NEOS67号インタビュー登場)を中心に活動中です。現在、SDAではその商業サイン、公共サイン、もう一つが新しい素材、実験的な試みと3つに分かれてそれぞれが部会をつくって活動しています。 ―― 全ネ協とテーマを共有できることがあるのではないでしょうか? 全ネ協とも日広連とも共有テーマはたくさんあると思いますよ。今回ISAの視察はそういう意味では大きな第一歩だったのではないでしょうか。ニューヨークのサインはある意味逆規制ですが、ランドマークそのものがサインのような広がりがあり、素晴らしい空間を造っている。今回の大きな収穫でした。 ―― 日本のネオンは規制にあえいでいるようですが… 昔の森永の地球儀のネオンがあった時代は今のNYのタイムズスクエアに匹敵するのではないでしょうか。ネオンが一つの銀座の性格を決めていた。ネオンはどうしても派手で目立つことから規制の対象にされる。 外部から見ると、新しいネオンのあり方を考える視点が弱いのでは。活性化するために、例えばこういう使い方をしたらこんなよくなりますよ、街の活性化にも繋がる提案をしたらいいのではないでしょうか。 銀座の街には大型の美しいネオンサインを、六本木あたりには小さいセンスの良いネオンを、例えば歌舞伎町には賑やかなネオンをといったシミュレーションをして使い方を積極的にアピールする。そういった街づくりと連動した提案を行政にもしていったらどうでしょう。今はパソコンで簡単にできますからね。 ―― ネオンアート展などでそういうシミュレーションの提示をするのもいいですね。 例えば 美しいネオンサインには「ネオンデザイン賞」贈るとか。新しい技術や表現方法の研究も充実していくのではないでしょうか。 当然屋外広告物は受注あってのものなので、施主がいて、代理店があって、デザイナーがいて、施工業者がいる。いくらデザイナーだけが頑張ってもだめ。それぞれコミュニケーションを図っていくことが大切です。とはいっても施主の意向も無視できない。 重要なのは民度です。民度が高い所ではきたないサインにはクレームがきます。銀座1丁目から8丁目までのネオンコンクールといった、場所と期間を決めてベストとワーストを一般の方に投票してもらうというのもよい方法では。施主や代理店が一番怖いのは市民の目です。以前ロッテルダムでお店のインテリアコンクールをやっていましたが、エントリーした所のおしゃれな写真入りマップ片手に観光客も気軽に参加できます。そういうことを重ねることによって市民の目がだんだん肥えてくる。『街のステキ』は民度の高さに比例するのでは。 屋外広告物はデザインの質がよければもっと大型でもいいと思いますよ。 ―― 提案型のアピールが必要ですね。 街づくりと連動した屋外広告物は活性化にプラスになる。銀座のネオンを消した時のように、ネオンが点いているということはこんなに効果的で、きれいで平和なことなんだというアピールをしていけばいいのでは。光のバリエーションが広がっているのですから新しい技術の開発や、表現方法、効果も含めて研究していけばいいのではないでしょうか。 これからはサインの理解を広げる。「情報計画」という捉え方がポイントでは。文字や絵、たとえばネオンサインも情報という捉え方をする。携帯電話で今はあらゆる情報を見ることができますね、地図からお店の情報、ニュースなどまで…。コンテンツの組み立てで無限の可能性がある。コンピュータと連動したネオンなども大きな可能性があるように思いますよ。 |