点滅希

 
 へそくり  
    

 年末、かみさんへ賞与を渡した翌日、予期しない先から金五万円もの大金が転がり込んだ。正月には孫たちが戻ってくる。じじの面目を保つには格好の額である。無論、ばばから公金?がお年玉となって渡されるのであるが、ここは一番、じじからも。
 さて、それ迄何処へ隠しておくかである。ばばに見つかれば一巻の終わり。硯箱と辞書は過去に見つかった経緯がある。財布は一番危険、仏壇はちょっと気が引ける。狭い我が家には案外隠し場所がない事に気付く。
 考えた挙げ句、正月に着る和服の内ポケットと決めた。社員に一年の労をねぎらい帰宅した。ところがである。その和服が羽織りと一緒に虫干しされている。万事休す。別に悪い事をした訳でもないが、一瞬言い訳を考える。気のはやるのを押さえ、誤魔化しめいた命令を。
 「お茶」
 「はいはい」
 なぜかご機嫌がいい。ばばは急ぎキッチンへ。すかさず調べる。あった。即、ゴルフバッグの中へ。最初からなんで!

(忠)

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