ある電話販売会社が辞めた店を借りた。その軒上に大きな内照式看板がある。意匠も決まった。仕事に行った。古い面板を撤去し、蛍光灯ランプも取り替えた。点灯テスト。配電盤にタイマーが四つあり、他のテナントもここから配電しているらしいが、どうしても点灯しない。七、八個あるブレーカーを操作しても駄目。天井に入って線を手繰ってみたが梁に邪魔されて分からない。明暗スイッチを探したがそれもない。この店は再々経営者が代わり、いろいろ看板が取り替えられたと、家主。その都度、配線した形跡がある。四個のタイマーが全て違うのもそのためか？でも癪。とうとう一回路増設することにした。ごてること二時間余り。新しい経営者は苛々している。とうとう小言を一発喰らった。
「あなたそれでも電気屋さん？計器も道具もいっぱいあるのに」
　半年後、うちの内儀さんがテレビを直せという。弱電は端から分からない。そういうと同じ事を、「あなた免許をもっとるのになんで？」素人は、電気なら強電も弱電も電波までも知っていると思っているらしい。よく考えてみたら、小生ネオン屋。「ネオンなら任せ」。無念。