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■ 「美しい都市景観の創出に向けて」 ■
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アオイネオン(株) 横山 巖
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今年はいよいよ新しい屋外広告物法による規制が本格的にスタートします。各自治体の屋外広告物条例や景観条例がどのように変わって、どのように実行されるのか注目したいものです。 多くの業界リーダー達が過去ずっと言い続けてきたことがあります。「罰則なき規制の強化は無法者にとっては何の痛痒も感じない、何故なら元々守っていないしこれからも守らないから。だから都市景観は決して改まることはない。法を遵守する正直者はずっと馬鹿を見てきた。」 確かに今までのお役所は決まりを作るだけで、それを守らせる施策は無かったように思います。しかし新しい法律には実効性を伴って都市景観を改めていく可能性があるのではないかと期待しています。 本当に美しい都市景観は実現出来るのか。それは役所と我々サイン業者が共通の理想を持って協力することによってのみ達成できるものと思います。対立する立場という旧来のスタンスを打破して、サインのあるべき姿を追及していくべきでしょう。それは、広告主と市民の理解も得られるものと思います。 では、我々サイン業者が先ず第一にしなければならないことは何か。それは企業としての社会的責任の自覚です。法令の遵守を始めとする社会的責任経営、いわゆるCSRです。そして美しい都市景観の創出という理想を持つことです。その心意気を持ち続けることによって、仕事に誇りを持つことができるのであり、社会に貢献することの喜びを得られるのです。 一方、諸官庁の方々に望むことは現場に出て現場を知って欲しいということです。私は、SDA(社団法人日本サインデザイン協会)が昨年秋に発行した「アメリカの商業サイン調査報告書」が非常に印象に残っています。「派手なサインをつけなさい?!ニューヨークを変えた驚きの逆規制に学ぶ」と題された冊子ですが、この素晴らしいレポートをぜひ全国の屋外広告許認可に関わる方々にお読み頂きたいものです。 タイムズスクエアでは商業の活性化と街の治安向上などの実現のために、ビルにサインの設置を義務付けるという手法をとりました。それはサインの規模や光量の下限規制(上限ではない!)、点灯時間の規制(消してはいけない!)など日本のお役所には逆立ちしても真似できないものでした。 必要なサイン、役に立つサインは社会がそれを認知し尊重し推奨すべきです。逆に、違法で市民に迷惑になるものは強制的にでも撤去して、広告主も製作者も罰せられるべきです。 今こそ、サイン業界でこの当たり前のことを実現させる、そういう時代になることを切望しています。 |