特別報告

 

ネオン管シミ現象調査報告

技術委員会シミ原因究明WG

  グループリーダー 吉野禮之


ネオン管シミ現象調査報告書概要


1.はじめに
 平成13年12月から平成16年3月まで、北海道石狩市においてネオン管の黒化現象原因調査のため屋外環境試験を実施したが、その際ネオン管の内側にシミが発生しているものがあった。このシミが何であるか外部機関に分析依頼し調査したので報告する。

2.分析
(1)依頼先
@ 東芝ライテック(株)材料応用技術(神奈川県横須賀市)
A 日亜化学工業(株)第一部門D工場第一技術部(徳島県阿南市)
(2)依頼品
屋外環境試験に使用されたネオン管258本のうちシミが発生しているもの50本を東京に送ってもらい、そのうちシミのひどいものを各2本ずつ送付した。
(3)結果
両社とも付着したシミは、酸化水銀ではないかと推測した。

3.考察
(1)通常の液体状の水銀はHgの単体で、唯一の液体状の金属である。金属水銀またはメタル水銀と言う。一方酸化水銀とは水銀が酸化したもので、化学式はHgOとなる。水銀が酸素と結合してできるもので、簡単に言うとHgが錆びたものというイメージで、酸化水銀は酸素(O2)がなければできないものである。すなわち下記のような残留酸素などと結合して酸化水銀となる。
@ 蛍光体を塗る時に使うバインダー(粘度をあげるために使うニトロセルロース)などの分解不足や焼成不足で残った酸素
A 排気の後管内に残った酸素
B 電極部分の金属が酸化していたために出きた酸素
(2)平成15年1月から3月にかけ実施したネオン管の黒化現象原因を探る調査(ネオン管黒化現象原因調査・大型環境試験装置における報告書 平成15年9月発行)でも下記のサンプル管にシミが発生しており、故意に条件の悪くしたこの調査においても(1)に関しての裏づけが取れたものと考える。
@ 原管の焼成工程と乾燥工程
原管の焼成状態と乾燥状態が悪いサンプル管
A 排気工程
ネオン管の焼きが不十分で、ガラス管中央部の温度が低かったサンプル管
B 排気工程
電極の焼きが不十分で電極部分の温度が低かったサンプル管
(3)アルゴンガスを封入したネオン管より混合ガスを封入したネオン管にシミが多く発生していたので心配であったが、分析の結果シミは酸化水銀であった。

4.対策
 シミの原因となる酸化水銀が出来ないようにするには、下記のことが必要である。
(1)不純物が残らないよう原管の焼成を十分行い、湿気が入らないよう原管の保管にも気をつける。
(2)ネオン管の製作工程、特に排気工程でガラス管と電極を十分に焼き、不純物が残らないように排気を十分に行う。



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