■ 『今度こそ』
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小さな三階建ての自宅は二階に玄関があり、外階段で出入りしている。その中程に娘が買ってきた常緑樹の鉢植えが置いてあった。花も咲かなければ実も成らない。只々、緑を楽しむことのようである。それが一メートル程に育つと一寸家の中へ持って入って、とはいかない。最近ではその存在感が薄れ、雨でも降らない限り水も与えていない。運も悪かった。今年の夏は特に暑く日照りが続き、八月になるととうとう枯れてしまった。幹一本、突っ立ったまま放置されてしまった。十月に入ったとたん、雨が良く降った。気温が平年より高かったせいか、枯れた根幹から新芽が生えてきた。とても瑞々しく愛らしい。「よし今度は大切に育ててやろう」と思った。早速、日当たりの良い門側に並べてある鉢植えの横へ仲間入りさせた。ここなら放水ホースもあるし誰かが水をやるだろう。小生だって。 |
(忠)
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