リポート

 ユビキタス社会に地歩を占めつつある素材 LEDシンポジウムに参加して 
関東甲信越支部(株)東京システック 佐藤 彰

 今回で3回目となる「JLEDS」主催のLEDシンポジウムに参加してその内容を回顧し、私見ながら、考察と展望を付記しまとめてみた。
 当日の会場はほぼ満席状態で、テーマにある「LEDが明日のビジネスを招く」を象徴するごとく熱気が感ぜられ大盛会の印象であった。

LEDのサインへの影響力
 かつて、サイン素材としてマーキングフィルムやFFシートが出現し、サインの表現手段に新しい展開が見られたように電飾素材としてのLEDの出現はそれ以上のインパクトを感じさせるものがある。
 テクノロジーの進化によりネオントランスがインバータートランスに置き換えられて来たように、異業種の参入も今後は素材の用途開発の観点からサイン市場に進出してくるものと思われる。
 特にLEDはその特徴から小さくて扱いやすく、基本的な知識をマスターすればだれにでも形にすることが出来てネオンサインのように特殊技術(ネオン管加工、高電圧の取扱い等)は必要としないからである。
 現にLEDのデバイスメーカーのみならずアッセンブリメーカー(デバイスを加工し、光源体ユニットとして製品化)のサイン業界へのセールス攻勢はこの1年だけ捉えてもすさまじいものがある。
 今後、小型サインを中心にLEDを採用した製品はますます増加してこようが、問題点もある。すなわち、単体では光源としてのパワーが小さいのである程度の集合体を形成する必要がある。     
 結果的に素材価格が高くなり、全体コストがアップし、付加価値が低くなることが最大の問題点であろう。さらに施工上の問題点として、LED(発光ダイオード)は半導体そのものであるので、発生する熱処理の対策が適当でないと思わぬトラブルが生じクレームを招きやすいという点である。
 しかしながら、全体的には国家的テーマである環境保全、省エネ等の大きな方針に沿った当世代の素材であり、行政上でも個別プロジェクトを編成し普及へ向けた技術支援施策を打ち出しており、当協会の板野会長がプレゼンで述べられた通り、デザインを具現化する素材の一つとして、特徴を生かしたサインの応用へ切磋琢磨して模索していかなければならないと考える次第である。

LED技術開発への経緯と展望
 LEDの技術開発は今後もかなりの勢いで進むものと思われる。これは開発スタンスの大きさが違うからで、電子技術の進展スピードが他の素材とは比較にならないからにほかならない。
 トランジスタが発明され、やがてIC(集積回路)が開発されるまでの短期間をみても理解出来ようが、LSI(超精密集積回路)からマイクロコンピュータがチップ化され、暮らしの中に、身の回りの中に入り込んできたいわゆるユビキタス時代の到来なのである。
 ICが産業の米といわれた時代が久しいが、電子技術の産業へ及ぼす影響の度合いは計り知れない。
 LEDは半導体である電子技術のほんの一端である、が、産業への捉え方は照明デバイスとしての普及であり、やがて暮らしの中にもその影響が大きく君臨するものと思われる。
 塗料メーカーである日亜化学の中村氏が青色発光ダイオードを開発し、個人の工業所有権を主張して話題になったのも、そう昔のこととは感じられないが、これを機会にLEDの照明デバイスとしての技術開発が飛躍的に進んできた、すなわち白色発光ダイオードの登場である。
 光の三原色は、赤・緑・青(R・G・B)であり、混合して発光させると白色になることは周知の通りであるが、困難とされた青色発光ダイオードの開発により急速にLEDが照明デバイスとして脚光をあびることとなった。
 現在はLEDの開発も日ごとに改良され、製造の精製過程にて白色発光も単体で製造可能となり、その種類も色温度ごとに区分けされるようになってきた、さらに発光エネルギーを高めた高電力、ハイパワー型のデバイスも開発され、益々照明分野への新素材としての地位を占拠しつつある。
 電飾サインへの光源素材としての参入もこれらの経緯をふまえれば、いずれ大きな変化をもたらすと想定できるが前記した通り、導入の際の問題点、施工上の技術ノウハウをしっかり固めサイン製作者としてのスタンスを構築しネオンサインとの共生を確立すべものと思う

LEDの新しいコンセプトによる施工例

アクリル樹脂板の表面をカットしLEDの透過、反射性を効果的に配置し高級感を出したブランドショップのLEDサイン ショップ入口の路上に埋設されたLEDサイン
(韓国・ソウル明洞地区にて)


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