「北京にはラスベガスのフリーモントストリートにあるアーケード形巨大映像装置によく似たものがあります」と言われて、一瞬何かの間違いではないかと疑った。ラスベガスのものはカジノのオーナーが客足の遠のきつつある旧市街に、起死回生の挽回策として巨額の費用を投入して実現させた。
北京にそれだけの費用をつぎ込む経済活性化がどうして必要なのか。また、誰がそんな巨額の資金を負担するのか。
ところが、そんなよく似た映像装置が実際にあったのだ。場所は宿泊ホテルからそう遠くないショッピング街にはさまれた広場。でも、そこに集っているのは観光客ではなく、北京っ子らしい人たちばかり。しかも、映し出されている映像には目もくれず、目下広場の一隅で開催中のライブショーに夢中。映像は天安門広場を行進する軍隊や戦車の隊列とその上を驀進するジェット戦闘機、そしてそれを見守る群衆や人民大会堂に居並ぶお偉方。写真画面は偶々白黒になったが勿論カラーもバッチリ。
これは中国の国威発揚を目的とした国策型映像装置なのか。でも、誰を対象にしたものなのだろう。