World Sign バックナンバー 世界のサイン、遂に出版される
VOL.109  パッション
パッション

 英語のパッションには情熱のほかに受難という意味もあることをメル・ギブソン監督の映画「パッション」で知った。
 この映画はキリスト最期の12時間を描いたものだが、そのリアリティ描写が並みではない。有罪の判決を受けたイエスが十字架を肩にゴルゴダの丘に登り、磔になるまでの描写が真に迫り、あたかもわが身を鞭打たれるように痛みを覚えた。
 その道はヴィア・ドロローサ(哀しみの道)と呼ばれ、半ば観光化し、狭い石畳の路の両側にはビッシリと土産物屋が軒を連ねる。途中イエスが遭遇した事跡に従い14箇所の留(ステーション)があり、サインで示されていた。この第6留はイエスの顔をベロニカという女性がハンカチでぬぐったところとされ、現在はベロニカ教会となっている。教会のドアにYSTATICの文字が読み取れる。
 信徒はこの留をたどることによりイエスの受難を追体験することになる。キリスト教の現在に至る世界的な広まりは、この受難の非情にかかわるところが大きいのではなかろうか。

 





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