アラビア半島の最南端に位置するイエメンでの移動はランドクルーザーだった。山岳部のわき道を除き幹線道路は全て舗装されており、きわめて快適な旅だった。トイレタイムなどで小休止するたびに運転手たちが輪になってこの国のジャンピーアダンスを踊り、時には同行の女性も輪の中に引きずり込まれる。
三人ずつ分乗する7台の4WDは全車トヨタ車だった。驚いたのはこの国を走る車の90%は日本車であり、そのまた90%がトヨタ製だったことだ。市場など車が沢山駐車しているところでは右を向いても左を向いてもトヨタ、トヨタばかり。車のほとんどを占めるのは小型トラックであり、その白い荷台後部に赤のゴチックで書かれたTOYOTAの表示がくっきりとよく目立つ。トヨタがこんなに多いのはこの会社の販売戦略の賜物だろうが車の性能の優秀さもあるのだろう。
チベットに行ったとき海抜4000メートル級の高さを走れるのは日本車しかないと言われた。現在売れ行き不振で苦しんでいるトヨタは、必ずやこの技術力で生き残っていくことだろう。