そこここに散乱する血みどろの死体とそれを処理する人たち。これは明らかイスラエルのガザ地区攻撃の惨状風景だろう。添えられた非難の文字から滴り落ちる血が生々しさを加える。思わず目を背けたくなる、こんなポスターをイエメンの街中のあちこちで見かけた。
日本でもイスラエルの非道な攻撃を新聞テレビで伝えているが、残酷な画像は極力控えられている。だから彼らが行っている蛮行がいかに人間性を無視しているか、あまり伝わってこない。イスラム国のポスターはその点でインパクトが半端ではない。刺激の強い情報を隠すことが本当の報道なのか、考えさせられる。
ユダヤ人はナチスのホロコーストによって6百万人もの人々が犠牲になった悲惨な経験をもつ。いや、それ以前にも彼らの歴史は非迫害者の歴史でもあった。そんな体験を持つからこそ虐げられた人々の痛みを知るはずだが、逆にそんなのろわれた血が他民族には非情なまでに反応してしまうのだろう。民族間に寛容の精神を育てることはかくも難しいのか。