World Sign バックナンバー 世界のサイン、遂に出版される
VOL.127  ヨーロッパ人のサイン哲学
ヨーロッパ人のサイン哲学

 19年ぶりのワルシャワ訪問では旧市街のサイン状況を確認したいと思っていた。私の体験ではヨーロッパでもこの旧市街のサインは格段に素晴らしい出来と思えた。デザインセンスにあふれ、造りも凝っている。それらが時を経てどんなふうに変わったか見届けたかったのだ。
 昔見たサインの内の9割がたは造り変えられることなくいまだに命脈を保っていた。
 びっくりしたのは写真のサインだ。歯車と吊りさげた重りはどう見ても時計だろう。事実、昔は広場に面した時計屋さんの軒先についていた。私はここで進学した娘のお祝いに美しい布ベルトのついた腕時計を買ったので記憶に深い。
 それが何と、裏通りにある土産物屋に身売りしていたのだ。同じサインが違う店につくとはどういうことだろう。
 考えてみれば、こちらではサインに店名もなければ業種の表示もない。ヨーロッパ人にとってサインとは店のシンボルであると同時に店頭のアイキャッチャーであり、アクセントなのだろう。だから業種とは関係ない人魚やドラゴンなどがあっちこっちで見られる。

 





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