World Sign バックナンバー 世界のサイン、遂に出版される
VOL.130  風車の森
風車の森

 ウルムチ空港に降りたったら雨だった。滅多に雨の降らない土地で4月以来とのことで現地ガイドの顔はほころんでいた。お陰でこのシーズンは気温35度はあるところを20度前後の涼しさ。
 ここからトルファンまでバスで約4時間の行程。砂の平地をひたすら走っていたが、途中から風力発電の風車がわれわれを迎えた。それはさながら林か森のように遠くまで林立しどこまでも絶えることがない。聞けばその数700から800本を数え、いまだ増設工事中とのこと。
 途中、トイレと小休止で下車したが、寒さと強風に写真を撮るのももどかしい。この地は「風の王国」と呼ばれ、列車も強風で横転するほどとのこと。ガイドが自慢そうに横転した機関車の写真が載った新聞を広げた。
 その強風と広大な砂漠が、普段の旅とは一味もふた味も違う意外な人たちとの交友関係を生んだ。それがまた旅の魅力でもある。
 風力発電の素晴らしい立地条件を提供しているトルファン一帯の電力は、すべてこの風力発電でまかなう計画とのこと。そればかりか、いまや中国は世界で最も風力発電の盛んな国なのだ。
 国土が狭く、山がちな我が国はとても太刀打ちできない。

 





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