現在ミャンマーには世界遺産が一つもない。しかし、それはユネスコに申請していないだけの話で、この国には世界遺産にふさわしい遺跡や自然が沢山あることを行ってみて知った。
申請しない理由は軍事政権が国内事情を世界に知らせることを嫌ったためといわれる。 昨今の民主化推進でこれからはこの国に第一級の世界遺産が続々と誕生することだろう。
その一つがこのチャイティーヨ・パゴダだ。金箔を張り詰めた巨大な石が絶妙なバランスを保ってせり出している。背後の山からころがってきたのかと思ってしまうが、ここは山の頂に位置し、周辺にこれ以上高いところは見当たらない。あたかも造化の神のいたずらのように忽然と存在するのだ。数人がかりで押せば前後にかすかに動くほどに、その存在は危うい。パゴダとしてミャンマー中の人々が訪れ、金箔を張り付けて拝む。手の届かないところは足場をかけて毎年化粧直しもおこたりない。
その威容は奇跡であり荘厳だ。大自然の不思議を感じさせずにはおかない。