キューバではチェ・ゲバラの肖像画や銅像をあちらこちらで見かけた。記念の巨大な廟もあった。休憩したドライブイン入口にはポスターボードの顔写真に「乗りかけた船を下りないで下さい」と添え書きされていた。仕掛けた革命を成功に導くためのスローガンではなかろうか。
ゲバラがカストロに呼応して闘ったゲリラ戦は1959年に勝利し、バチスタ政権は崩壊した。それから半世紀以上が経過する現在、ゲバラはいまだにこの国の英雄であり続けている。土産物屋の店先に並ぶ絵葉書はゲバラの雄姿や笑顔のポートレートが大部分で、色とりどりのTシャツもゲバラ、ゲバラである。
ゲバラはこの国の人間ではないし、革命後はボリビアのゲリラ活動で亡くなっている。そんなゲバラをいまだに英雄として敬愛するキューバはあたかも時間が止まったかのように思えてならない。それとも革命ムードをいまだにあおり続けるのがこの国の政策か。
ゲバラに比してカストロの肖像画は一切見かけなかったが、彼が「私は神様ではないから肖像はいらない」と言ったからとのこと。カストロ死後のこの国の未来を案ずる。