10月、南アフリカの行政府であるプレトリアは名物のジャカランダの花が真っ盛りであった。大きな樹木に咲いた満開の紫色の花は日本の桜の花のようなものだろう。街路という街路にこの木が植えられていた。シーズンもここは日本の春に当たる。そのジャカランダの木がこの地で初めて植えられた、記念すべきサニーサイド小学校を訪問した。木は校庭のすぐ入ったところに見事に咲き誇っていた。
その先の子供たちの遊び場を見せてもらったら白線のマス目ラインが目に入った。その形に子供時代の記憶がよみがえった。小学校低学年の頃、路上でこんな線をロウ石で描き、石蹴り遊びをしたものだ。用務員のおじさんにどうやって遊ぶのか尋ねたら、実演して見せてくれた。遊び方はちょっと違うような気もしたが、全体のマス目は確かこんなだったはずだ。
そういえばスペインのフィゲラスにおもちゃ博物館があり、その前面道路にもよく似たラインが引かれていた。父親が子供に遊び方を教えていたのが微笑ましかった。遠い国々で子供たちが同じような遊びをしていることに深い感慨を覚えた。
でも、車に道路を奪われた今の子供たちはもうこの遊びを知らないだろう。
写真の後方に見える紫の茂みがジャカランダである。 |