World Sign バックナンバー 世界のサイン、遂に出版される
VOL.148  キプロス島
キプロス島
 キプロス島に着いた翌朝、ホテルの窓から弟一番に目にしたのは山際の、この大きな国旗だった。左側はもう色褪せてはいるが赤地に白マークのトルコの旗。右が白と赤を反転させた北キプロス・トルコ共和国の旗。そして私がいるのは南キプロス共和国である。キプロス島はギリシャからもトルコからもほど近いため、両国の民族が共存していた。一方はギリシャ正教、もう一方はイスラム教を信奉する。
 三十一年前、両者の間に紛争が勃発した。以降、グリーンラインいう国境ができ、通行が規制されている。しかも、面白いことに首都レフコシアは共有し、ここにもラインがある。まるでかつての東西ベルリンと同じではないか。簡単な書類とパスポートを提出するだけで入国でき、南と同じような商店街が続いている。
 北には南に移ったギリシャ人の立派な家が住まい手もなく沢山放置されていて、その一角だけ鉄条網で仕切られていた。
 四国の約半分という狭い島に過ぎないのに、民族の違い、宗教の違いは如何ともしがたい。世界にはこのような問題を抱える国は多い。
 





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