屋根がかかった橋というのがある。映画「マディソン郡の橋」はそんな橋を撮る写真家の話だった。日本にも探せば結構ある。
でも、日本で橋上に店舗のある橋は見たことがない。
イタリアのフィレンツェにあるベッキオ橋はそんな橋として有名だ。橋の両側には土産物屋がずらりと並ぶ。私はそんな橋をほかに知らなかった。ところが、中国湖南省の鳳凰古城という古い街に行ったらそれがあったのだ。建物は3階建てになっていて、レンガのアーチ橋の上に木造の建物が載る。キャンチレバーで端が飛び出しているところもベッキオ橋に似る。2階は広々とした展望用休憩所になっていた。そこからの川の眺めが素晴らしい。両岸の古風な街並みと沢山の小舟の浮かぶさまはヴェニスのリアルト橋からの眺めに似ている。ヴェニスはゴンドラだが、こちらは屋根のある木造船で何とも風情が漂う。
今回の旅では映画「芙蓉鎮」のロケ地を訪ね、石敷き階段のある古色漂う街並を散策するなど中国の奥深さを味わった。