World Sign バックナンバー 世界のサイン、遂に出版される
VOL.160  マウントラシュモア
マウントラシュモア
 四人の有名大統領の顔を彫りこんだサウスダコタ州のマウントラシュモアは行ってみたい観光地の一つだった。その時の市長が世界から観光客が呼べるものを作りたいと当時高名だった彫刻家に相談した結果誕生したとのこと。花崗岩の胸像は高さ18メートルもある。四人の顔は岩の形状に合わせて配置されているが、全体のバランスは絶妙である。
 この像にはヒッチコックの活劇映画「北北西に進路をとれ」(1959年)で強烈な印象を受けた。ケーリー・グラントとエバ・マリー・セイントの二人は悪漢に追われてこの像の上に出る。二人は頭上から下に降りて難を逃れようとするが、追う悪漢との手に汗にぎる活劇が展開される。
 危険な場所での撮影はもちろんセットで行われたことだろうが、実際のマウントラシュモアでこんなアクションが可能なのだろうか。今回の旅ではそのことをしっかりと確かめたいと思っていた。
 像の上はがれきの傾斜の奥にさらに高い岸壁が聳え、人が立ち入ることなど到底不可能なのだ。しかも、岩の額の上を歩くなど絶対無理。
 つまり、映画はすべてフィクション。ここを舞台に設定した監督の突飛な創造力に恐れ入った。
 





2017 Copyright (c) Japan Sign Association