小さい屋根がついた荷台に旗付きの赤い自転車。お店のような…、一瞬なんだろう?と目を引くこの可愛らしい自転車、実は選挙用自転車だ。
ドイツ南西でフランスとスイスの国境近くに位置するフライブルク市では今年4月に市長選挙が始まった。人口23万人、ドイツの環境首都と呼ばれるこの都市はドイツで初めて緑の党の市長が誕生したことでも有名だ。以来ずっと緑の党のディーター・ザロモン氏が市長である。
今回の選挙でその現役市長に対抗する立候補者の一人がマーティン・ホルン氏、34歳、無所属、新人。写真は彼の選挙用自転車である。
落ち着いた紺色をシンボルカラーに、可読性の高い書体を使用した明快なデザイン。キャッチコピーもユニークで覚えやすい。車体に書かれたフレーズ Öko?Logisch! (エコ?もちろんさ!)は Ökologisch (エコロジカル) からの造語である。自転車で市内を巡るのはエコロジカルであるし、緑の党でなくても環境に配慮した政治ができるという彼の意思が表現されているのがこの自転車であろう。週末には本人が自転車で町中を回り、公園で憩う人々と直接対面している。
さて選挙結果はいかに?! 44%の票を取得して1位に躍り出たのは若きホルン氏、2位には現職ザロモン市長が続くが過半数の票を取る候補者がでなかったため、第二回選挙にもつれ込む。そして、とうとう選挙を制したのは赤い自転車がシンボルだったホルン氏であった。政治経験の全くない若いホルン氏が市長に選ばれたのはフライブルクでも大きな話題となったことはいうまでもない。