ヨーロッパアルプスの最高峰モン・ブランの麓町、シャモニーモンブランに滞在中、氷河の洞窟を見に登山鉄道に乗り込んだ。スキー観光がメインの町なので、6月の登山鉄道は人もまばらだ。目指すはフランス最大の氷河、メール・ド・グラス(氷の海)。頂上のモンタンヴェール駅で降り、さらにロープウェーで下降し、そこから氷河の洞窟まで延々とある階段を下る。その辺りは読んだ情報通りだが、階段を降り始めて気づく小さなサインがある。所々にあるこのサインには1990、2000、2010…と続く(写真右下岩肌のサイン)。そう、これは1990年まではここまで氷河の高さがあったという印。どんどん氷河が溶けて2010年の辺りでも現在の氷河の位置からかなりある印象。
温暖化で100年前から氷の厚さがおよそ130mも減っており、最近では年間4〜6m減少しているのだそうだ。そのため、氷河の洞窟までの階段は毎年追加されており、現時点では550段に達している。氷河の減少は予想していたが、このサインのおかげでいかに急速に変化しているかが目に見え、温暖化の進み具合を肌で感じることができる。もうあと数十年したら氷河は無くなると言われている。それもそう先の事ではなく自分が生きている時代の話かもしれない。
モンタンヴェール登山鉄道の赤い趣のある車両とダイナミックなアルプスはとても絵になる風景なのだが、氷河の洞窟からの帰りは美しい風景も若干寂しげで、地球温暖化の問題の大きさを感じずにはいられなかった。