国際ターミナルの要所に、地元の特徴的なアートが設置されている。出発ゲートの入口、都市内へ移動する鉄道への乗り換え口、ターミナル内での待ち合わせ場所といった位置にこれらのアートがあることで、利用者にとって必要な施設が分かりやすくなっている。またこれには左記のような背景がある。
オーストラリア大陸には約6万年前から先住民アボリジニが居住していて、独自の文化や生活を営んできた。18世紀頃にヨーロッパ人の移住が始まり、植民地としての歴史を歩むことになる。そして連邦政府が成立し「国家」の誕生以来、移民を受け入れながら多民族・多文化国家を形成し、発展を続けている。18世紀後半には東海岸から始まった植民地化が徐々に西へ移行し、1829年には西オーストラリアも正式にイギリスの領有と宣言され、その後純粋な開拓民による植民地移住が認められた。そこでイギリス政府は各植民地に、イギリス式の憲法や議会制度を導入し、自治権を与えていった。それに伴い、貿易や国防の面などから植民地間の統一気運が高まって、各植民地が独自の自治権を発揮できる連邦制への道を探ることになる。
このような歴史から、オーストラリアの様々な都市では、街中で地域の特徴を媒体としたパブリックアートが展開されることが多い。こういった習慣により、アート作品がターミナル内でオーストラリアの文化として表現され、国際ターミナルとしてもふさわしい雰囲気を醸し出している。