北欧の空港に降り立った日本人が皆一様にビックリするのはトイレの便座の高いことだ。腰を下ろすと靴底が床にとどかないと嘆く人が多い。これは何とかなるとして、悲劇的なのは小用に際してモノが便器にとどかない場合だ。ヨーロッパ人は北に行くほど身長が高くなるようだ。
ちなみに冬期オリンピックの開催国だったノルウェーの成人男子の平均身長は179・5センチ。便座が高いのももっともな話だろう。オリンピックの行われたリレハンメルからも遠くない位置にあるベルゲンはノルウェー第二の都会だが、港と自然環境の調和が素晴らしい。郊外の森と湖に囲まれて、グリーグがあの幻想的なペールギュントの作曲に没頭した丸木小屋が建つ。そんなベルゲンで如何にもノルウェー人を象徴するかのようなサインにお目にかかった。デパートやホテルの庇上に配したネオンチャンネル文字だが、文字幅に対してチャンネルの立上がりが異様に高い。しかし、無骨さは無く、安定感の上にシャープさが感じられる。ブロンズのマッスはあたかも現代彫刻を見るようだ。文字チャンネルと一体感のあるネオン管の扱いも造形的に違和感がない。最近は軽さが主流の日本のサイン業界ではあるが、こんな造形も見習いたいものだ。
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