VOL.35 ヨーロッパの広告塔 (ストックホルム編)

 重厚で歴史を感じさせるものが多いヨーロッパ各国の広告塔の中にあって、いささか変わった表情を見せるのがストックホルムの広告塔だ。パイプの組み合わせフレームに表示面を取り付けただけだから軽快そのもの。装飾過多な広告塔を見慣れた目にはいささかそっけないくらいだ。スケールもさほど大きくはなく、これはこれで親しみがもてる。同じものをスウェーデン以外の北欧でも見かけた。
 さて、写真のポスターだがどんな商品の広告なのか、お察しの通りコンドームである。ちょうど10年前のこと、このポスターを目にしたときは「さすがは性の先進国」とビックリしたものだ。今ではわが国でも電車の中吊り広告にさえこの商品が登場する。日本の性開放度もスウェーデン並みになったということか。
 但しポルノの開放度では幸い、日本はまだまだスウェーデンには届かない。あちらでは一流ホテルや空港の売店にもその手の雑誌があけすけに置いてある。買うのにちょっと気がひけてレジの女の子の前でヒョイと裏返して差し出したら、裏表紙の方がもっとズバリの写真でいささか閉口したものだ。もっとも、釣銭を返すスウェーデン美人の表情にはまゆ一つ動く気配はなかった。
 





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