VOL.43 ウィーン名物 ホイリゲの杉束サイン

 ウィーンではホイリゲに是非一度は足を運んでみたい。ウィーンの郊外に点在する居酒屋の一種でワインの新酒を飲ませてくれる。
 居酒屋といっても屋外が一般的で、入口を入るとそちこちの木陰に大きなテーブルが配されている。客はグループ毎にテーブルを囲み、手作りワインとセルフサービスの郷土料理で一夕を過ごす。生のバンドが民謡を奏で、雰囲気を盛り上げる。ときには日本民謡、歌謡曲のサービスも怠りなく、日本人観光客を楽しませてくれる。
 このホイリゲの店先には営業中の印として杉の葉を束ねたものが吊るしてある。日本の造り酒屋が杉玉を吊るすのと共通するところがいかにも面白い。杉束は建物の正面に長い杉丸太を突き出しその先端にぶら下げていた。いささか無骨な趣がわが国のものとはちょっと違う。玄関先では店のマスターと民族衣装で着飾ったウェートレスが客を出迎え、華やかさを演出していた。
 ついつい雰囲気にさそわれて、いささか飲みすごしてしまった。その夜、モウレツな頭痛におそわれた。おかげで翌日からワインの臭いを嗅ぐのも嫌になり、旅行中はビールばかり飲んでいた。その後遺症はいまに至り、ワインにはあまり食指が動かない。
 





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