インド北部のジャイプールという都市は実に面白い。十八世紀に出来た旧市街の建物が全て、淡いピンク色をしていて、一名ピンクシティーともいわれている。
これは、建築に使われたこの地のインド砂岩が特有のピンク色をしているからだ。
レンガ積の外壁をモルタルで仕上げた建物も、全て同様にピンク色に塗るよう定められているそうだ。
更に面白いのは、
それらの建物のファサードが一様に王宮を思わせる瀟洒なデザインで統一されていることだ。そのため街全体が、
まるでおとぎ話の国のようにかわいらしく、幻想的なのだ。
その街のほぼ全体がバザールになっていて、
狭い間口の商店がひしめき合い、大変な賑わいようだ。
店先には様々な商品が並び、一つ一つの店をたんねんに見ていくと飽きない。
インド人の商品開発意欲は相当なもので、商品もデザインも豊富だ。
靴屋の店先ではこの国特有の先端がとんがった。
刺繍入りの靴が愛らしく目を魅いた。軒先につるされた靴が絵になる風景を作っていた。気がつけば、それは商品の陳列であると同時に、この店のサインにもなっている。
もっとも安上がりにして効果満点。
考えてみれば、これぞサインの原点ではなかろうか。