World Sign バックナンバー 世界のサイン、遂に出版される
  VOL.52  ロシアとヨーロッパは一つの根

 社会主義が行き詰まり,ソ連が解体したのは1991年。それから7年を経たロシアの街並みはモスクワもペテルブルグも外観上ヨーロッパの自由主義国とまったく見分けがつかないというのが第一印象だった。目抜きの大通りには大きなポスターボードが目を引く。歩道のそちこちには円筒形や菱形平面をしたシャレた広告塔。ガラスばりのバス停壁面には内照式のポスター広告。そしてショーウインドゥのチューブオンリーネオンとその広告量はパリやベルリン以上というべきか。マルボロ,キャメル,マクドナルド,ペプシとアメリカ商品の広告がやたらと目につく。自由主義と国際化は一体のものなのだろう。

 屋外広告を含めた街の表情がヨーロッパと酷似するのは白人としての民族の血だろうか。その昔,民族が大移動して今のヨーロッパ社会をつくったという。人種の根は同じなのだ。東洋の街並みとの違いの根底にはやはり民族としての価値観の違いがありそうだ。

 明治維新,我が国が模倣したのはヨーロッパの統一された街並みだったが今ある姿は東洋的な雑然である。同じ社会主義を経験した隣国同士であるロシアと中国を比較しても,あまりにも対照的な街の姿からそのことを痛感する。

 





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