カジノのネオンが世界一のスケールで豪華さを競う一方、ラスベガスにはここならではのネオンサインがもう一つある。それは教会のネオンである。アメリカの家庭の5割は離婚経験といわれ、ここラスベガスは手軽に離婚の出来る場所としても有名である。そのためのセレモニーを取り仕切る教会がラスベガスの中心地・ブルーバードの周辺に150軒以上もあり、24時間「営業」している。一見スナックか郊外の喫茶店といったたたずまいで神聖なる教会のイメージとはほど遠い。日本では結婚産業が盛況をきわめるように、離婚に離婚産業が成り立つならば、そのための建物が商業的であるのは当然なことかもしれない。かくしてアメリカ人はこの砂漠の中のドリームランドに新婚旅行ついでにギャンブルをしにやって来る一方、ギャンブルついでに離婚をしにもやって来るのである。
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