ペルーのクスコでは空の美しさが印象的だった。ことに早朝と夕日が沈む直前がいい。透明感をたたえた緑がかったブルー。例えて言えば南海の環礁を取り囲む水の色に近い。標高3,360メートルという高さと澄んだ空気のせいだろうか。
バスでの移動中は遠くの山並みと刻々と変化する空の色に視線を奪われつづけた。もっとも地上には茶色の地肌と真っ直ぐに伸びる一本の道路以外に見るべきものは無い。
ふと気が付けば白壁に鮮やかなペンキの色を配した広告のある農家が近づいてくるではないか。いかにも南米らしい光景にカメラを向けたものの高速で走るバスからではシャッターチャンスはつかめない。あっけなく通り過ぎたと思ったら、バスはその先50メートルのところで急停車した。
畑の向こうに日本人が寄付して建った小学校があるとのことで、小休止となったのだ。
これ幸いと慌てて撮りに走ったのがこの一枚。戻ってみれば子供たちが湧いたように大勢われわれ一行を取り囲んでいるではないか。ツアー参加者の中に学校の先生が一人いて、用意のいいことに学用品をどっさり持ってきてみんなに配っている。子供たちを囲んで写真を撮ったり、思いがけず暖かい交流を楽しんだ。
広告文字の「CUSQUENA」は「クスコの娘」という意味だそうだ。この国の飲料水の広告ででもあろうか。簡素な中にもこの地特有の青い空をバックに引き立って、かつ陽気で美しく感じられた。