アマゾン川の広大さと奇妙さにはつくづく感心した。ゆったりとした流れのかなたに見えるジャングルが対岸かと思って近づけば、鬱蒼とした樹木の間に水路が延びていて、そこを進めばまた広い水面が開ける。陸のようで川のような空間が延々と繋がり、さながら迷路のようだ。
手前の岸沿いにマナウスの街並みが見え出した頃、カラーリングの美しい船が停泊していた。何の船だろうかと思ったらガソリンスタンドだった。そういえばメーターのついた給油スタンドも見えるし、軒周りの扱い方など陸のガソリンスタンドとそっくり。船のガソリンスタンドとはさすがはアマゾン。サイン表示の「BR」はその後、町でよく見かけた。
アマゾン観光のハイライトは獰猛さで知られたピラニア釣りであった。潅木を縫っていった先の浅瀬が釣り場で、牛肉の細切れを針に刺して降ろすと面白いように引いてくる。時々釣り糸が川底の小枝にからまり、驚いたことに上半身裸の漁師がもぐって取ってくれる。ピラニアは血さえ流さなければ人間や動物を襲うことはないとのこと。昔、川に落ちた牛がピラニアの群れに食い散らかされみるみる白骨になるシーンを映画で見たが、受けをねらった演出らしい。釣り上げたピラニアはフライにして食べさせてくれた。白身の肉の淡白な味がなんとも意外であった。