旧ユーゴスラビア連邦は現在スロベニア、クロアチア、セルビア・モンテネグロ他の五つの共和国になっている。初めに独立の意思を表明したのはスロベニアで断固阻止しようとしたのはセルビア・モンテネグロであった。この五つの共和国の中で最も豊かなのはスロベニアで貧しいのはセルビア・モンテネグロ。戦争の理由がそこに窺える。
　スロベニアの首都リュブリャーナは流石にしっとりと落ち着きのある都市だった。朝のウオッチングで面白いサインを見つけた。地上から半階分下がった店舗入り口に大きな非常口サイン。非常口のサインは本来建物内部から外に誘導するためのものだ。おかしなことをするものだと思ったが、オープン前で薄暗い店内を覗いて謎が解けた。ここはファンシー商品の商い店。「ＥＸＩＴ」はれっきとしたこの店の店舗名なのだ。つまり店主のウイット。
　ヨーロッパの非常口サインは日本のものとちょっと違う。日本では非常口のなかに人物が走りこんでいるが、ヨーロッパのものは人物と非常口が別々に描かれている。日本のものはシンボルマークの国際規格になっているはずなのにヨーロッパではほとんど使われていないのが実情だ。