Vol.68 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■ 特別報告ドバイ・アブダビ視察報告1
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■ 中東産油国の中でもとりわけ発展の目覚しいアラブ首長国連邦(U.A.E.)のドバイ市で第4回国際サイン・グラフィック見本市が開催され、協会幹部に随行、訪問する機会に恵まれました。以下、見本市並びに同時開催のセミナーの状況を報告します。
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●イベントの概要 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
◆中東サインエキスポ2002 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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◆サイン国際セミナー | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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●見本市開催の背景 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1971年アラビア半島の一角で産声をあげたアラブ首長国連邦(United Arab Emirates)は、2001年に建国30周年を迎えた。一人当たりGDPは、2000年に2万ドルを超え、中東最富裕国の一つである。人口3百万の80%がインド人とパキスタン人、10%がフィリピンなどのアジアとエジプトなどの中東諸国からの出稼ぎ労働者で占められている。 国家予算の7割を石油収入に頼っており、石油依存型経済からの脱却が同国の基本政策である。連邦を構成する7首長国のうち、アブダビに次ぐ力を持つドバイは、早くから脱石油政策に基づく経済構造改革に取り組んできており、既にGDPにおける非石油部門の割合は80%近くとなっており、未だ50%程度のアブダビとは好対照となっている。とりわけ中東最大の企業集積地に成長したジュベル・アリ・フリーゾーンには2001年5月末現在で日系企業63社を含む内外企業1848社が集結し、その数はなお増加の一途を辿っている。 またドバイには、マイクロソフト、GEなど欧米企業をはじめ、日本企業も自動車、家電、OA機器メーカーが中東・アフリカ地域の統括センターをおいている。街には近代的な高層ビルが林立し、2003年にIMF・世銀総会が予定されていることからホテル、リゾート、大型ショッピングモールなどの建設ラッシュが続いている。 このような背景から、ドバイ市当局は外国企業、外国人が働き易く住み易い環境つくりに積極的で、商活動を活発にする広告についても、都市計画局(Planning & Surveying Department)に広告専門の部局(Advertisement Section)を設置し、その発展に意を用いている。 今回のエキスポもドバイ市の後援で開催されたもので、セミナーには広告部長自らがスピーカーとして出席していることにもその心意気を感じさせた。 |
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●展示会の印象 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
米国ビューテック、コダック・ポラロイド・オリベッティ・ゼロックス・エプソンなどの国際企業代理店ジャッキー、韓国LGプラスティックの現地会社などと並んで、地元の総合看板業者エミレーツネオン社が大きな小間で出展しているのが目を引いた。他にも中国製のトランス、イタリ−テクノラックス社のネオン管などネオン関係の出品も散見されたが、日本からの出展は印刷関係で現地代理店を通じての出展がある以外ほとんど姿が見られなかったのは残念であった。また、オランダに本社があるロタパネル社をはじめトライビジョンの出展が少なからずあり、実際にドバイやアブダビの街中でも多くの実例が見かけられた。
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●セミナーの様子 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
冒頭基調講演のような形でドバイ市広告部長モハメッド・アル・ノーリ氏がプレゼンテーションを行なった。通常の壁面サインは壁面面積の2分の1まで認め、広告の活性化に努めているとのこと。ビルボードとしては、静止サインはもとより、内照式やトライビジョン、3Dサインなど様々な新製品について説明がなされた。 また、壁面バナー広告として、従来の外照式、内照式さらに同じデザインを異なった場所で種類を変えて掲示する手法が紹介され、全体として広告の高度化、大型化傾向が指摘された。また、ドバイ市に多い橋梁の幕広告はほとんど無制限に近い形で許しているとの話であった。 続いて、LEDなどエレクトロニック・サインが紹介され、より広幅で、明るく動きのあるテレビ画面のような広告形態について説明があった。バス車体広告も現在手続きが進んでおり、間もなく多数の広告付バスが街を走り回ることになろうとのことだった。 最後に、ドバイ市の広告行政について、スピードと効率を重視し、インターネットによる申請許可を普及させて無駄なペーパーワークをなくしていく方針であり、常に市民から忌憚のない意見を求めて行政の改善に努めていると結んでいたのが印象的だった。 なお、ノーリ部長には当協会30周年記念ビデオを贈呈しておいた。 板野副会長のプレゼンテーション(次号参照)に引続き、各国の代表がそれぞれの分野でプレゼンテーションを行なったが、ネオン管製造者であるテクノラックス社のゼネラルマネージャー、タスコーニ氏が、ネオンはデジタル印刷広告に敵対するのではなく、共存の道を探るべきであるし、またそれは可能であると主張していた。同氏によれば、同一デザインのネオン管を使用しても背面のプリント地のデザインを変えることによって、全く異なった広告表現が可能であり、またその逆も成り立つことをパワーポイントで実例を示しながら、熱弁を振るっていた。 |
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●まとめ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
韓国、インド、欧州などの資材メーカーが中東市場に積極的に売り込んでいるのに対し、日本メーカーの勢いがいまいちであることに一抹の寂しさを感じたのが正直な印象である。この業界に限らず、最近の日本企業が往年の勢いを失いつつある状況は、現地日本商社の話からも窺われ、わが国経済の早期立ち直りが望まれる。一方、ドバイも含め世界の市場が、まだまだ日本の産業力に大きな期待を寄せていることも今回お会いした各国代表者の発言からも理解され、心強く感じた次第である。 |