はじめに
過去の一時期に、ネオントランスの力率向上のためのコンデンサに絶縁物質として若干のPCBが用いられていましたが、当時PCBの危険性が大きな社会問題となったことから、PCB使用ネオントランスは1972年(昭和47年)4月に使用自粛、1976年(昭和51年)に新規使用が禁止されました。
環境問題への関心が高まる中、2000年7月には「ポリ塩化ビフェニール廃棄物の適切な処理の推進に関する特別措置法」(以下PCB特別措置法)が制定され、事業者は「PCB廃棄物」に関し、より適切な取り扱いを行うよう義務づけられました。
各トランスメーカーでは、1972年にはPCBを使用しないネオントランスに切り替えており、1973年以降に製造されたネオントランスにはPCBは使用されていません。しかし、1973年以降に製造された一部のネオントランスの製造過程で、意図せず微量のPCBが混入されている可能性を完全に否定出来ません。ほとんどの製品は新しい物に切り替えられていると思われますが、万一1973年以前に製造された古いネオントランスに加え、下記PCB使用ネオントランスの判別方法に該当するネオントランスが使用、若しくは市場に残されている場合には適切な処理をする必要があります。
この資料は、上記のような場合、適切な処理を行うことが出来るように情報提供を行うものです。
ネオンサインの撤去作業や改修作業の際、廃棄ネオントランスの中にPCBを使用した可能性のあるネオントランスを発見したときは、適切な取扱をされるようお願い申し上げます。
【目次】
1.PCB使用ネオントランスとは
2.PCB使用ネオントランスの製造・出荷時期
3.PCB使用ネオントランスの判別方法
4.PCB使用ネオントランスの取扱について
1.PCB使用ネオントランスとは
PCB使用ネオントランスとは、PCB入りコンデンサを力率改善用として使用していたネオントランスのことをいいます。従って、対象は高力率ネオントランスで、調光用に使用された低力率ネオントランスは対象外です。
2.PCB使用ネオントランスの製造時期
PCB使用ネオントランスは、1972年末には、各メーカとも製造中止しております。
1973年以降1991年までに製造された製品に関しては、下記判別方法に記載のとおりです。
3.PCB使用ネオントランスの判別方法
ネオントランスの銘板によって、PCB使用の有無を判別する事が出来ます。銘板による判別方法は、下記のメーカ別一覧表の通りです。
ネオントランスの形も変わってきており、参考までに代表的なメーカの外観写真を添付します。
4.PCB使用ネオントランスの取扱について
(1)使用済みのPCB使用ネオントランスは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下廃棄物処理法という)で「特定管理産業廃棄物」の「特定有害産業廃棄物」に指定されている「PCB汚染物(PCBが付着し、または封入された金属くず)」に該当します。
(2)使用済みのPCB使用ネオントランスは、「排出する事業者」が保管・管理しなければなりません(廃棄物処理法第三条)。2027年3月31日までにPCB廃棄物を処分するか又は処分を依頼しなければならないとされています。
また、特別管理産業廃棄物を保管する事業所には、「特別管理産業廃棄物管理責任者」をおかなければなりません(廃棄物処理法第12条の2第6項)。
(3)事業者は、毎年度(6月末までに)保管量等を都道府県知事(または市長)に届け出なければなりません(PCB特別措置法第8条、PCB特別措置法施行規則第4条)。
(4)また、PCB廃棄物は法律で譲り渡し及び譲り受けが制限されています(PCB特別措置法第11条)。
(5)PCB廃棄物は、法令の定めるところに従って保管・管理する必要があります(廃棄物処理法施行規則第8条の13)。
5.お問い合わせ先など
(1)この記事の内容については、公益社団法人日本サイン協会事務局までお問い合わせ下さい。
Tel:03-3437-1526 Fax:03-5776-1321
E-mail:office[at]sign-jp.org
URL:http://www.sign-jp.org
(2)トランスメーカーが分かる場合には、各トランスメーカーまでお問い合わせ下さい。
(3)その他関連サイトは、下記の通りです
PCB入りコンデンサを使用したネオントランスの銘板による判別方法
製造社名 | 連絡先 | PCB入りコンデンサを使用している可能性があるネオントランスの銘板 | |
高濃度PCB使用のもの | 微量(低濃度)PCB混入の可能性を否定出来ないもの | ||
(株)三陽電機製作所 | レシップ(株) 058-323-6841 | 製造年月が「昭和28年」から「昭和47年」までのもの。 製造年月の表示は、 「昭和○○年○○月」と刻印されている。 | 製造年月が「昭和47年(1972年)」以降「昭和61年(1986年)」までのもの。 昭和61年(1986年)以降のものには混入なし。 |
(株)港電業社 | (株)港電業社 03-3433-6191 | 製造年月が「昭和47年6月」までのもの。 見分け方: ① 製造番号が上4桁のものは、はじめの2桁が西暦年、次の2桁が月を表す。 例:「7206」は、1972年(昭和47年)6月製 ② 製造番号が上3桁のものは、はじめの2桁が西暦年、次のローマ字が月を表す。 月表示は、A=1月、B=2月、C=3月、D=4月、E=5月、F=6月、G=7月、H=8月、 I=9月、J=10月、 K=11月、L=12月。 例:「72F」は、1972年(昭和47年)6月製 | 製造年月が「昭和47年(1972年)」以降「平成1年(1989年)」までのもの。 平成2年(1990年)以降のものには混入なし。 |
大阪変圧器(株) 又は (株)ダイヘン | 四変テック(株) 電子機器事業部 営業部 0877-33-2323 | 製造年月が「昭和47年6月」までのもの。 見分け方: ① 製造番号が上4桁のものは、はじめの2桁が西暦年、次の2桁が月を表す。 例:「7206」は、1972年(昭和47年)6月製 ② 製造番号が上3桁のものは、はじめの2桁が西暦年、次のローマ字が月を表す。 月表示は、A=1月、B=2月、C=3月、D=4月、E=5月、F=6月、G=7月、H=8月、 I=9月、J=10月、 K=11月、L=12月。 例:「72F」は、1972年(昭和47年)6月製 | 製造年月が「昭和47年(1972年)」以降「平成1年(1989年)」までのもの。 平成2年(1990年)以降のものには混入なし。 |
愛知電機(株) 又は 長野愛知電機(株) | 愛知電機(株) 0568-35-1181 | 銘板に明記してある製造年が、「昭和33年(1958年)」から「昭和47年(1972年)」までのもの | 製造年月が「昭和47年(1972年)」以降「平成3年(1991年)」までのもの。 平成4年(1992年)以降のものには混入なし。 |
松下電器産業(株) | パナソニック スイッチギアシステムズ(株) 品質保証部 市場技術課 0561-54-9314 | 銘板に明記してある製造年が「昭和47年(1972年)」以前のもの | 製造年月が「昭和48年(1973年)」以降「昭和60年(1985年)」までのもの。 昭和61年(1986年)以降のものには混入なし。 |
(株)稲葉電機製作所 | (廃業につき、個別確認が必要) | ||
大洋電機製造(株) |