山登り

360度大パノラマ

五十路を超えた頃から体力の衰えを時折り感じる機会が増えてくるにつれ、このままではマズイ!と体力を維持する為に何か無いかと探していたところ、友人の勧めで山登りを始めたのがきっかけである。

山登りを始める前までのイメージは「遭難、滑落、危険、場合によっては命を落とすことも…」であったし、今でもそう思う。しかし初めて山登りをした「木曽駒ケ岳」山頂からの360度大パノラマから見た乗鞍、御嶽をはじめ、北アルプス、八ヶ岳、南アルプスの美しい景色に心を奪われ、ちょっとオーバーかもしれないが人生観が変わるぐらいの感動であった。それ以来、山登りの虜になった。今では、妻も引きずり込みながら、多い時ときは月に2回程山登りに出かけるようになった。

始めた頃は、地元の「里山」と呼ばれる1000m程度の山々に週末の日帰り登山に出かけながら、妻と山登りを楽しんでいた。また登山用のバーナーを買い、山登りの途中で、お湯を沸かして食べるカップラーメンが最高に美味しくて、四季折々の山の景色を楽しみつつ、山ご飯に徐々にはまっていった。

知らなかった…

だんだん里山にも飽きてきた頃、紅葉を見に行こうと西穂高岳へ向かった。10月末頃だったが数日前に雪が降ったらしく、西穂は白く薄化粧。新穂高ロープウェイを降りたらそこは真っ白な銀世界だった。何も知らないまま妻と二人で登山開始をしようとした瞬間、他の登山者が皆、鎖のついたものを靴の下に履き始めた。
(これは何なのか?)

お恥ずかしながらチェーンスパイクやアイゼンという雪山登山の基本の道具をその時は全く知らなかった。その時のウェアもフリースにダウンジャケットという格好。登山の基本である「レイヤリング」というものも全く知らなかった。それでも何とか30分ほど頑張って雪道を歩いたが、途中で全く進めなくなり、断念。暑すぎてダウンを脱ぎ、フリースで登っているのは我々だけだった。

この時初めて、登山というのは、事前に様々な情報を入手し、装備や服装、道具を用意し、GPS機能の付いた登山アプリなどで、地図やコースタイム、直近に登った方のブログを調べ、天候や風などコンディションを調べた上で山登りへ行くか行かないかを決めるということを知った。この出来事がきっかけになって、山登りの奥深さや事前準備のたいせつさを学ぶことができた。

山登りは経験が大切である。今でもまだ初心者向けのコースが多いが、それでも1泊2日のテント泊や山小屋泊も経験するまでになった。

登った山

2023年に登った山を一部ご紹介。春、残雪の木曽駒、燕岳、夏、乗鞍岳、八ヶ岳の東・西天狗岳、硫黄岳、白馬の唐松岳、秋、南アルプスの仙丈ケ岳、そして山登りを始めた頃からの長年の目標であった「涸沢カール」へ登ることができた。奥穂に染まるモルゲンロートを見た時心が震えた。

次なる目標は「奥穂高岳」と「槍ヶ岳」。いつになるかは分からないが少しずつ経験を積んでいつかは挑戦したいと思っている。

中部支部 平野顕

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