屋外広告物条例の解釈の難しさ

広報委員会

前号の発信簿コーナーで、条例解釈の曖昧さを考えさせられるような投稿がございました。詳しくはバックナンバーをお読み頂きたいのですが、簡単にお伝えすると、屋外広告物の継続申請を行った物件で、広告を非表示化した箇所も申請料を徴収されたというものです。

この地の役所の見解では、表示の有無にかかわらず、表示可能な広告本体が存在すれば、無地でも申請対象となり、面積算入もするとのことです。因みに条例には明示されていません。申請手数料は表示面積に応じた金額であるため、改修で非表示にした面は面積計算から除外されるべきでは?との疑問も浮かびます。このように、条文には書かれていない、解釈に頼った条例の実態を探るべく、広報委員会では各支部から情報を集めてみました。お寄せいただいた情報や見解は、ページの都合上要約してお伝えいたすことといたします。

まず、同様の解釈を役所が行っているケースは全国に複数あることがわかりました。「広告非表示も申請対象である」或いは「非表示も面積算入する」ということが明示してある条例があるという情報は得ておらず、あくまでも役所の窓口担当者の見解やその地域での共通見解ということのようです。

一方で、私たち業界の立場から、役所の見解は正しいとのご意見も頂きました。それは、非表示広告物の申請は安全管理上必要なことではないかという意見です。例えば、広告主がある日撤退し、広告の除却申請が通ってしまうと、残置された看板枠や本体が保守管理されないまま経年劣化する可能性が懸念されます。非表示の分まで高額な納付金を徴収される点で理不尽さを覚える一方、しかし安全上は非表示でもしっかりと管理していく必要があるという考えもあるということです。

では条例がどうあることが最良なのでしょうか。あくまでも私見ですが、申請手数料を基本料金と面積単位の2段階制とし、非表示面は計算から除外すると条例に明記する案。また、除却届は完全に看板下地までを撤去しなければ認めず、残置すれば継続申請で基本料金のみ納め続けるという案が考えられます。この案自体も看板下地と建築物との区分けが曖昧なケースを考えますと穴はあると思います。しかし、条例を頼りに、また従っている私たちからすると、解釈によって変わってしまうルール自体に納得がいきません。

本誌176号(2019/10/1)にも役所との見解相違で痛手を被ってしまった協会員さんのエピソードが紹介されています。こちらはガラスのカーテンウォールに広告表示が可か不可か、窓や開口部に関する法的解釈の違いのお話でした。以前はガラスの内貼り外貼り問題もよく聞かれました。

その他にも、同様に解釈によって見解が分かれてしまうような事例はよく耳にしますが、総じて役所の見解は杓子定規であり、厳しい方に判定が向かいがちです。私には良し悪しの判断はできませんが、少なくとも私たち業界関係者が無用な揉め事に巻き込まれないよう、本件のような情報には関心を寄せておくとともに、皆様からの情報もお寄せいただけると嬉しいです。

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