干支ネオン
昨年のプロ野球日本シリーズでは大阪を舞台に熱戦が繰り広げられた結果、阪神タイガースが見事38年ぶり2度目の日本一に輝きました。その興奮も冷めやらぬ11月、私は初めてカンサイネオン電気㈱さんを訪問しました。目的の一つは同社名物の「干支ネオン」を見に行くことでした。
その日私を出迎えてくれたのは、笑顔の井野克彦社長と寅のネオン…。あれ、今年は寅年でしたか?いやいやそんなことはなく、言うまでもなくこれはタイガースエンブレム、優勝を祝して今回特別に制作されたネオンです。卯年のネオンはちょっと早めに選手交代となったようです。さて、初めての会社訪問にドキドキしながら、まずはお茶を頂き、落ち着いたところで会社の歴史を少々伺いました。
老舗
神戸市灘区に本社を構えるカンサイネオン電気㈱さんは昭和6年に創業。ということは今年で93年目、老舗中の老舗ではないですか。克彦社長の祖父にあたる富次郎さんが、東京ネオンライトラボラトリーの小曽根氏と技術提携で興したのが始まりです。
昭和30年に株式会社に改組し、これまで各業界における電飾、ネオン、看板工事を数多く手がけてきた。と、会社案内に書いてありました。しかしそんな昔からネオンをやっておられたなんて、神戸の街の発展に大きく寄与されてきたことは間違いありません。
そして社屋も歴史を感じさせる佇まいなのですが、実は神戸市電の変電所跡地というではありませんか。これには驚きました。どうりで事務所らしくない雰囲気を感じたわけです。神戸市電といえば1970年頃まで走っていた路面電車のことで、会社の目の前の国道2号線を昔は走っていたのかしらと想像します。
干支・タイガー・はらぺこあおむし
さて、話は最初の「干支ネオン」に戻りますが、カンサイネオン電気㈱さんでは会社の軒先に毎年飾っているそうです。一回りで12年、それだけでも多い数ですが、少なくとも二回り以上も続けておられ、道行く人にとっては定番となっているようです。
そのネオンを制作している工房が2階にあるということで案内してもらいました。ここもまた年季が入って渋い空間です。見ると天井の梁に昔の木の電柱1本をそのまま使っているではありませんか。実にいい建築です。
ベテラン社員の山名さんがネオンの話をたくさんしてくださったのですが、干支のネオンはだいたい山名さんがデザインも考えて曲げているそうです。今年の干支である辰は2012年の作品がそっくり残っているので、今年用にアレンジするつもりだと語ってくれました。ネオン作品は干支に限らず、今回のタイガースエンブレムのように時々違ったデザインも掲げるそうで、「はらぺこあおむし」は特に小さい子供たちに人気があったという話です。
昇り龍がごとく
日本経済はパンデミック以降苦しい状況がまだ続いている面もあります。しかし今年の干支は辰、しかも2024年は甲辰です。いままで我慢に耐えた力が解き放たれ、昇り龍がごとく勢いよく成功へと飛躍する年となりそうです。そんな発展への道をカンサイネオン㈱さんの「干支ネオン」が明るく照らしてくれている気がしてなりません。
平日のお仕事中にも関わらず、お話を聞かせて頂き誠にありがとうございました。
小野利器
広報委員会 NEOS編集長
*200号記念の別冊より