柏原エリナ(造形作家)
アメリカ・シアトルにピルチャックガラススクールというのがあり、ここでは夏の間だけ、ワークショップが行なわれている。様々な著名なガラスアーティストを世界中から講師に招聘して、各クラス10数名ほどを教えてくれます。
私はここで2001年にフレッド・シーダ氏とデボラ・ドーン氏の2人のネオンアーティストが教えてくれる“ネオンロードテスト”という初歩のネオン制作のクラスに参加しました。
クラスの中は本当に色々な国の生徒がいて、年齢もバラバラでした。ここではガラス管をバーナーで曲げ、電極管を接続し、自分の形作った管を真空化し、ネオンガスか、アルゴンガスを封入し、時に水銀を入れ、ネオン管として発光させる、ここまでをなんとか自分でできるようにしてくれます。
その後、私は念願だった数種類のネオン管製作の方法を先生から聞きだし、挑戦してみた。管の途中にピンポン玉のような球体を作ったり、様々な色ガラスの管を作ってもらって試したり、ガラス管の破片を管の中に詰め込んだり、ネオン管の中の蛍光塗料パウダーを模様をつけながら掻き出したり、と毎日実験にいそしんだのでした。それは今まで知っていた夜の街のネオンサインとはまったく違った、光の表情を持つネオンで、私はその変化に驚きながら夢中になって実験しました。
残念ながら、未だ私のアトリエにはネオン用のバーナーが設置できないままですが、いつか自分のアトリエでネオンが作れたら、そしてそこで経験した様々な表情のネオンを作品にできたらと願っています。
そして最後の日にクラスのタイトルである“ネオンロードテスト”の意味が解ったのです!
軽トラックの後部に木でトラスを作り、そこに生徒が作ったネオン管を全て結線して縛りつけ、発電機で発光させ、夜になってその発光するトラックが山の中や街中を注目の的で走り回り、最後まで管が破損しないか、テストしたのでした!