ドイツ国会議事堂とアート

東西ドイツ統一後、イギリス人建築家ノーマン・フォスターがガラスのドームを設計したことでも知られるドイツの国会議事堂。クリスト&ジャン・クロードが国会議事堂を梱包したアートプロジェクト(1995年)をご存知の方も多いであろう。ドイツの国会議事堂とアートはつながりが深く、芸術を軸としたワークショップや展覧会も常時行われている。

この写真のアート作品は国会議事堂内の中庭にあるハンス・ハーケの作品『DER BEVOLKERUNG』(ドイツに住む人々に)である。市民はガラスのドームの入口がある屋上から、国会議事堂で働く人々や議員は屋内から見下ろせるこの作品は、現在25年目を迎えている。使用されている土は国会議員がそれぞれの選挙区から持ち寄り、市民と共に樹木を植えることで、多くの人が関わりながらアート作品を作っている。そして樹木が育つ風景は毎日ウェブカメラを通して見ることが可能だ。

中央のネオン文字は議事堂正面の入口に書かれている銘文『DEM DEUTSCHEN VOLKE』(ドイツ国民に)とリンクしており、その書体も議事堂銘文と同じである。書体は1916年にドイツを代表する建築家でありデザイナーの、ペーター・ベーレンスがデザインしたものである。ハーケ氏のこの作品は人々の対話を促し、議員や市民がアートと関わることで思索を深めるプロセスアートになっているのである。

田嶋佳子

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