環境政策の一環としての井戸

自動販売機もなければコンビニもないドイツ。場所によってはスーパーがないエリアもあるから、夏は水筒を忘れたら大変だ。フライブルク市ではそんな心配が減りつつある。

ここ数年見かけることの多くなったこのサイン。「飲料水用井戸。この水は定期的に検査しているため安心してお飲みいただけます」と書かれている。

水が出ている井戸はたまに見かけるけれど、飲料用かどうかは分からないので飲んだことがなかった。飲んでいる人を見たこともあるが、自己責任だろうと思っていたのだ。同じように考えていた人も多いようで、市のサイトではこの標識プロジェクトに対する賛同コメントが多数あった。

このサインは市の環境政策の一環で設置されている。一つは温暖化対策。エアコンが普及していないドイツでも真夏は40度を越す日が増えた。熱中症対策として、いつでも水分が補給できるように街に設置されているのだ。また日本の打ち水のように街の冷却効果も狙っている。

もう一つはプラごみの削減。ペットボトルに入った飲料を購入しなくても良いように、水筒に補充できるようになっているのだ。水は比較的安く購入できるが、安いミネラルウォーターは再利用できる容器ではなく、プラリサイクルゴミになるので環境負荷が高い。

中世から市民生活に欠かせない井戸が21世紀に活躍するその風景は趣がありなかなか良い。ちなみにこの写真の井戸の名前は「ライオン井戸」である。

田嶋佳子

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